リトアニア人の苗字
リトアニア人の苗字は、大きく分けて、男性用、既婚女性用、未婚女性用の3つに分けることができます。
スラブ語系の国(ロシアなど)なんかでも、男女で苗字の語尾が異なるのは良く知られていますが、リトアニアでは男女の別だけでなく、女性が既婚であるのか、未婚であるのかも苗字で現されてしまうのです。初めて知ったときは、「こんな扱いを受けたら世の女性は怒るのではないか?」とも思ったものですが、あまりに古くからの伝統で、それが当たり前になってしまっているせいか、リトアニア女性は、それ程気にしている風ではありませんでした。
基本的に、女性の姓は男性(父親または夫)の姓を元にして作られます。男性の姓の語尾は、一般的に、-as, -us, -is,‐ysです(中には-aで終わる男性姓もありますが、大部分は前に挙げた4種類ではないでしょか)。そして、これらの男性姓を元に、語尾を-ien?に変化させることで既婚女性を現し、-t?とさせることで未婚女性を現すのです。
例を挙げてみましょう。
ここに、Dambrauskasという男性がいるとします。そうすると、彼の奥さん(既婚)は、Dambrauskienėとなり、娘さん(未婚)はDambrauskaitėとなるのです。ちなみに、息子さんの場合は、父親と同じDambrauskasを名乗ることになります。
このように、女性の場合、姓を知られることにより、すぐに未婚か既婚かが判明してしまうため、嫌な思いをする人も少なくありません。しかし、最近のフェミニズムの流れの中で、結婚しても敢えて姓を変えない女性も現れてきています。近い将来、女性の姓から既婚・未婚の別を判断することは難しい時代が来るかもしれませんね。
日本人がリトアニア人と結婚したら姓はどうなる?
世界が益々狭くなっている今日この頃、リトアニア人と日本人のカップルも増加しています。そういう私LiTabi管理人も、そういうカップルの1人なのですが・・・。
日本人とリトアニア人のカップルで、男性が日本人の場合、リトアニア人である女性のほうが男性の日本姓に変更することが多いようです。旧姓をそのまま残す場合もありますが、いずれにせよ、あまり問題は発生しないようです。一方、女性が日本人の場合、リトアニアと日本の法律の狭間で、多少問題が生じてしまいます。
リトアニアの法律に従えば、(1)男性の姓を既婚女性形に変えたものを取るか、(2)旧姓を残すか、(3)その両方をくっつけたダブルネームにするか、(4)男性姓を女性形に変えずそのまま用いるか(外国人には認められている)、という4つの選択肢があります。
例えば、Jonaitisさんというリトアニア人男性と田中さんという日本人女性が結婚したとします。
(1)に従えば、リトアニアでは、彼女の新姓はJonaitienėと登録されます。しかし、その姓で日本側に婚姻届を出そうとすると、受理してもらえません。日本の法律では、外国人と結婚して、外国人の姓を名乗る場合、男女の姓の綴りが一字一句一致していないといけないと定められているためです。よって、彼女は日本側の登録名はJonaitienėではなく、Jonaitisになり、リトアニア側の登録名と齟齬が生じてしまうのです。
(2)を選択した場合、日本でもリトアニアでも姓が「田中」となりますから、一見問題がなさそうですが、子供が生まれたとき、多少混乱が発生する可能性があります。例えば、この夫婦に娘さんが生まれたとします。リトアニアでは、父親の姓からJonaitytėと登録されます。しかし、日本では、あくまでもこの子は母親である田中さんの戸籍に入るわけですから、姓は田中になるわけです。このように、子供の姓がリトアニア側と日本側で異なることになるのです。リトアニアの法律では、子供の姓は、父親もしくは母親の姓から取ることができるとされているので、リトアニアでの姓も「田中」としてもらうのもひとつの手ではありますが、自分の子に自分の姓を継いで欲しいと思うお父さん方は多いようで、そう簡単にもいかないようです。
(3)を選択した場合、日本では法律上ダブルネームが認められていないので、旧姓を取るか、外国姓を名乗るか選択を迫られ、どちらを取っても、前述の(1)、(2)の問題が発生します。
(4)の場合、上記のような問題が発生せず、最適な選択肢のようにも思えます。しかし、リトアニアで女性が男性形の姓を名乗るということに、違和感のあるリトアニア人もいるようで、この選択肢を好まないリトアニア人パートナーもいるようです。パートナー間でよく話し合う必要があります。
日本側とリトアニア側で登録名が違ったところで、たいした問題はないと思われるかもしれません。但し、滞在許可証の更新など、様々な場面で、日本のパスポート(日本側の登録名記載)とリトアニア側が発行した婚姻証明書(リトアニア側の登録名記載)、両方の提示を求められることがあります。日本のパスポートというのは、戸籍を基に作られますから、何ら手段を講じないと、パスポート上の姓と婚姻証明書に記された姓が一致していないという理由で、人物の同一性を疑われてしまうのです。
先程、「何ら手段を講じないと」と書きましたように、これらの問題を解決する手段があります。たしかに、パスポートは戸籍に記された名前を基に作られますが、外国での登録名が異なるなどの理由がある場合には、この外国での登録名を併記するよう申請することができるのです。こうすることで、両国での登録名の齟齬という問題が解決されます。
結婚後、姓を巡って様々な選択肢がありますが、いずれも、パスポートへの両名併記という方法で解決することができます。ですので、どの選択肢がパートナー双方にとってもっとも違和感がないものかをじっくり考えて、決断されることをお勧めします。
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